リハ職として経験を積むほど、
「このまま同じ道を進んでいいのだろうか?」
「キャリアに広がりを感じない…」
と悩む場面は少なくありません。

実はこのモヤモヤは、多くのリハ職が同じように抱えているものです。
そこには “個人の努力では変えにくい構造的な理由” が存在します。

まずはその背景を丁寧に理解することで、自分に合った次の選択肢を考えやすくなっていきます。

① 年功序列が根強く残る組織風土

医療・介護業界は、他業界と比べても年功序列の文化が残りやすい環境です。

・年齢や勤続年数が昇格に影響しやすい
・「順番」が重視され、実力評価の幅が狭くなる
・若手〜中堅が昇格しづらい

努力を続けても、組織側の仕組みのほうがスピードを止めてしまうこともあります。

② 業務の幅が固定化しやすい

リハ職は、制度上の役割が明確です。
そのため、どれだけ経験年数を重ねても「仕事内容の大枠」は変わりづらくなります。

・業務内容に大きな変化が生まれにくい
・“経験=新しい役割につながる”とは限らない

この構造が、キャリアが横ばいに感じやすい背景になっています。

③ キャリアラダーが細く、ポストの絶対数が少ない

多くのリハ部門では、役職の流れは次のように定番化しています。

リーダー・副主任・主任・科長(技師長)

どの組織でも、上に行くほど人数は一気に絞られます。そもそもそのポジションが空かない「順番待ち」で年数が必要となります。(同年代が上司にいるとほぼ詰みです。)
また、順番が来たとしても責任増に対して報酬差が小さい。

こうした状況が“詰まり”を生み、将来像が見えにくくなってしまいます。

④ 報酬が上がりにくい仕組み

リハ職の収益構造は、医療保険・介護保険の枠に縛られています。

・算定単価が固定化されいる
・報酬改定の影響を強く受ける

そのため、多くの施設では「昇給:数千円」「昇給:数千円」というのが限界という現実もあります。

どれだけ実績やスキルを積んでも「収益構造が変わらない」以上、給与が大幅に伸びづらい点は見落とされがちです。

実際の賃金水準は、厚生労働省の賃金構造基本統計調査でも確認できます。医療・福祉分野の賃金推移を把握しておくと、自分の現状を客観的に見る参考になります。

⑤ キャリアの見通しが立ちにくい

業務の幅が固定され、昇格ポストが少ない構造では、将来を描きにくくなるのも当然です。

・10年後も役割が同じかもしれない
・どこに転職しても“似た形”に落ち着きやすい
・専門性は高いのに、選択肢は広がりづらい

モヤモヤを抱えるリハ職の多くは、「このまま進んでも、景色が変わらないのでは?」という不安につながっています。

⑥ 選択肢が狭いからこそ“横道キャリア”という考え方が重要になる

リハ職は専門性が高い反面、業界全体の構造上、キャリアパターンが狭くなりやすい職種です。

そのため最近、注目されているのが“横道キャリア”という新しい視点。

これは、

・現場の経験を土台にしながら
・役割や働き方を“横方向”へ広げる
・専門性の活かし方を変える

というアプローチです。

「縦に積むキャリア」だけを見ていると詰まりやすいですが、横道へ広げることで、新しい選択肢が一気に見えてきます。この考え方は、単なる転職ではなく“キャリア戦略”としてもとても有効です。リハ職がキャリアに悩みやすいのは、本人の問題ではなく 業界の構造 です。

私が以前いた職場でも、10年以上キャリアを積んだベテランのOTさんが「次に何をすればいいかわからない」と言っていました。スキルも人望もあるのに、行き先が見えない状態です。そのとき気づいたのは、「縦に進む道しか見えていない」と選択肢が詰まって当然だということ。横への気づきがあると、急に景色が変わります。

だからこそ、今のキャリアの立ち位置を整理し選択肢を“縦だけ”でなく“横方向”にも広げる視点を持つことが、これからの働き方を考えるうえで非常に大切になります。

「詰まった」と感じたとき、それはキャリアの転換点かもしれません。立ち止まって俯瞰してみると、見えていなかった道が浮かんでくることがあります。

■ たこすの現場経験から

私自身も、主任になった当初は「詰まり感」を強く感じていました。現場のセラピストとしては手応えを感じていたのに、役職がついた途端に「自分は何をすべきか」がわからなくなったのです。

その状態が2〜3年続きました。部下の指導・シフト管理・記録の整備と業務は増えるのに、やりがいが見えにくくなる。この感覚は、昇進したセラピストの多くが経験することだと、今はわかります。「できる現場スタッフ」と「機能するリーダー」は、求められる力が根本から違うのです。

転機になったのは「管理職の仕事の目的を変えた」ことでした。「仕事をさばく」から「チームが動けるようにする」へ。視点を変えただけで、同じ業務がまったく違う意味を持ち始めました。詰まりを感じているなら、やり方ではなく見方を変えることを試してみてください。

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ABOUT ME
たこす
理学療法士・介護支援専門員。総合病院を起点に、デイサービス・訪問リハ・回復期・施設運営・エリアマネジメントと、約20年にわたりリハ職としてのキャリアを積んできました。 専門領域での偏りに悩んだ20代、役割が急に増えた30代、そして40代を迎える今も "働き方を磨き続けること" をテーマに日々試行錯誤中。 現場だけでなく、新人育成・職場の役職・施設管理者・エリアマネジメントなど "横のキャリア" にも触れてきたことで、一般的なセラピストの道とは少し違う視点を持つようになりました。 だからこそ今、キャリアに迷うあなたにとって「少し先を歩く人」として、気づきを届けられることがあると感じています。