リハ職が管理職になって最初に直面したこと|現場との違いと乗り越え方
管理職になる前、私は「現場の延長線上に管理職がある」と思っていました。でも実際は全然違いました。
現場のリハビリが得意な人間が、そのまま管理職として通用するわけではありません。現場で積み上げた経験が、管理職の仕事に直接役立つ場面は思っていたより少なかったです。
専門学校を卒業してから総合病院、診療所での訪問・通所リハ、訪問看護ステーション、回復期リハと現場を歩んできた私が、施設管理者になって最初に直面したこと。その現実と、どうやって乗り越えたかを正直にお話しします。
最初に直面したこと——「全部が自分に乗ってくる」感覚
管理職になって最初に感じたのは、「あらゆることが自分の判断で動く」という現実でした。
現場スタッフのときは、判断に迷えば上司に確認できました。でも自分がTOPになると、その上に誰もいません。スタッフの相談、トラブルの対応、運営上の判断、すべてが最終的に自分に返ってきます。
その責任の重さは、現場の仕事とは質が違います。患者さん一人ひとりと向き合う責任とは異なる、「組織全体に対する責任」というものが、管理職になって初めてリアルに感じられるようになりました。「自分が判断を誤ったら、スタッフ全員に影響する」という感覚は、最初のうちはかなりの重圧でした。
「相談できる上司」がいなくなる
現場にいたときは、苦手な上司がいても「担当チームが違う」という距離感を保つことができました。でも管理職になると、それが難しくなります。スタッフ全員と関わる立場になるため、特定の人だけ避けるわけにはいきません。
特に、感情的になりやすいタイプの方との関係は精神的にきつかったです。落ち着いて話し合おうとしても感情的な反応が返ってくる、こちらが穏やかに対応しても火に油を注ぐような結果になる、という経験は一度や二度ではありませんでした。
「全員と仲良くしようとしない」という線引き
合わない人との関係に「正解」はないと今でも思っています。
感情的な反応に引きずられないよう自分を保ちながら、相手の言っていることの「芯」を聞き取ろうとすること。怒りや不満の裏に何があるのかを考えること。それを繰り返す中で、少しずつ関係が変わっていく場合もあれば、最後まで難しいままの場合もありました。
管理職になって学んだのは、「全員に好かれようとすると判断がぶれる」ということです。一定数、どれだけ誠実に向き合っても関係が改善しない相手はいます。そこに必要以上にエネルギーを使い続けるより、組織全体にとって何が正しいかを軸に動く方が、結果的にはスタッフ全員のためになります。
しんどさが「成長の素材」になった
管理職になってからの数年間は、正直しんどかったです。ストレス耐性が高いほうだと自分では思っていましたが、それでも「こたえた」と感じた時期はありました。
でも振り返ると、そのしんどさのひとつひとつが勉強になっていました。スタッフとのトラブル対応、運営上の判断、予期しない問題への対処。うまくいかなかった経験も含めて、全部が蓄積されていきました。
現場でリハビリの技術を磨くように、管理職の仕事も「経験を積む」ことでしかうまくなれない部分があります。最初からうまくできないのは当然で、失敗のたびに「次はこうする」を積み重ねていくしかありません。
「わからない」を認められるかどうか
管理職になってから意識するようになったのは、「わからないことをわからないと言えるかどうか」という点です。
現場のベテランとして経験を積んできた人間が、管理職になった途端に「わからない」と言いにくくなることがあります。でも、経営・労務・法規制など、現場経験だけでは補えない領域は確実にあります。そこを「なんとかなる」で乗り切ろうとすると、後で大きなミスにつながります。わからないことに正直になり、調べ、必要なら専門家に頼る。その姿勢が、管理職としての信頼にもつながると感じています。
管理職を経験して変わった視点
管理職を経験したことで、現場スタッフとして働いていたときには見えなかったものが見えるようになりました。
「なぜこの職場はこういうルールになっているのか」「なぜあの上司はあの判断をしたのか」といった疑問が、管理する側に立って初めて理解できるようになります。現場のスタッフが「理不尽だ」と感じていたことが、実は経営上の理由があったと気づく場面は少なくありませんでした。
管理職を目指すかどうかは人それぞれですが、「自分がTOPになるとどんな景色が見えるか」を知っておくことは、キャリアを考える上で無駄にはなりません。現場にとどまる選択をするにしても、管理職の視点を持っているかどうかで、職場での動き方が変わってきます。
■ たこすの現場経験から
施設管理者になって最初に感じたのは、「全部が自分に乗ってくる」という感覚でした。現場のスタッフとして動いていたときは、最終判断を誰かに委ねられました。でも管理職になった瞬間に、その「誰か」がいなくなりました。その孤独感は、なってみるまで想像できませんでした。
特に感情的になりやすいスタッフとの関係は、今思い出しても簡単ではありませんでした。どう接しても関係がこじれる状況が続いたとき、自分の中で「解決できない問題もある」という線引きを持てるようになったのは、経験の積み重ねによるものだと思います。
ストレス耐性が高いほうだという自覚があっても、管理職の初期はきつかったです。それでも、その経験は確実に自分を成長させてくれました。現場で患者さんと向き合う経験と、管理職でスタッフや組織と向き合う経験は、どちらも「本物の経験」だと今は思っています。