「デイサービスのリハビリって、実際どうなんだろう」。病院で働いていると、デイは近いようで遠い職場です。求人は多いのに、中で働くリハ職のリアルな話は、意外と聞こえてきません。

私がデイサービスに移ったのは、23〜24歳の頃でした。総合病院からの、最初の転職です。

病院とデイでは対象となる時期(ステージ)が違う。そのことは、自分なりに理解したうえで選んだつもりでした。それでも実際に働いてみると、「在宅生活を維持する」というテーマは、想像していたよりずっと重いものでした。

この記事では、当時の体験をもとに、病院とデイで何が違ったのか、やりがいと葛藤、そしてどんな人に向いているのかを書いていきます。デイへの転職を考えている方の判断材料になればうれしいです。

病院とデイサービスで何が違ったか

「治す」リハビリから「暮らしを支える」リハビリへ

病院のリハビリは、疾患の治療や回復が中心です。退院という区切りに向かって、集中的に介入していきます。一方デイサービスは、要介護認定を受けた方が在宅での生活を続けるために通う場所です。リハビリ(機能訓練)の位置づけも、「治して終わり」ではなく「暮らしを維持していく」ことに重心があります。

ここまでは、頭では分かっていたつもりでした。ただ、実際に現場に立ってみると、「維持する」ことのハードルは想像以上でした。加齢や病気の進行がある中で、今の生活を保つこと自体が簡単ではない。病院のように「良くなって退院」という分かりやすいゴールがない分、何をもって成果とするかを、自分で考え続ける必要がありました。

リハ職が「ほぼ一人」の現場だった

もうひとつ、働き始めてから痛感したのがこれです。病院には同職種の先輩や同僚が大勢いて、迷ったらすぐに相談できました。私はデイサービスを2ヶ所経験していて、セラピストが複数いる職場もあったのですが、もう一方の事業所では、前任のセラピストが私への引き継ぎを終えるとすぐに退職されました。つまり、入って早々に、リハ職は実質私一人になったのです。

フロアには介護職や看護師の仲間がいるので、孤立していたわけではありません。ただ、リハビリの進め方や評価の判断について「これってどう思います?」と聞ける相手が、ほぼいない。評価もプログラムも自分で決めて、自分で振り返るしかない。合っているのかどうか、答え合わせの相手がいないまま日々が進んでいく感覚は、経験の浅い時期にはなかなか堪えるものがありました。20代前半の自分にとって、この「専門職として相談できる聞き役がいない」という状況は、正直かなり苦労しました。

やりがいは、利用者さんの言葉だった

それでも続けられたのは、利用者さんの言葉があったからだと思います。「あれができたよ」「これがいつもより楽にできた」。そんな一言をもらえる瞬間が、デイのリハビリのいちばんのやりがいでした。

派手な回復の場面は、正直多くありません。でも、在宅生活を維持することのハードルの高さを知っているからこそ、「いつもより楽にできた」という言葉の重みが分かる。生活のすぐそばにいる職場だからこそ聞ける言葉だったと、今でも思います。

葛藤:一人にかけられる時間が短く、回転数を求められた

一方で、ずっと抱えていた葛藤もあります。時間です。

病院のリハビリは20分を1単位とする枠組みで、状態に応じて複数単位、一人の患者さんにまとまった時間をかけて関わることができました。デイサービスは制度上の立て付けが違い、一人あたりにかけられる時間は病院よりずっと短くなります。私の場合、1日に20名ほどの利用者さんを担当していました。単純に割り算をすれば、一人にかけられる時間がどれくらいになるかは想像がつくと思います。必然的に、多くの利用者さんに関わっていく「回転数」を求められました。

目の前の人にもっとじっくり関わりたい。でも、次の方が待っている。これは事業所が悪いという話ではなく、デイという仕組みの前提なのですが、当時の自分にはなかなか消化しきれない葛藤でした。

デイサービスのリハに向いている人

経験を踏まえて言うと、向いているのは圧倒的に「一人ひとりの生活に寄り添える人」だと思います。機能訓練の技術はもちろん必要ですが、それ以上に、その人の暮らしの困りごとに関心を持ち続けられるかどうか。デイのやりがいは、そこにあると言っていい気がします。

在宅生活のリアルな困りごとに関わりたい人にとって、デイは選択肢として「あり」です。病院では見えなかった生活の景色が見えてきます。一方で、一人の患者さんにじっくり時間をかけたい人や、同職種と日々議論しながら技術を磨きたい時期の人には、物足りなさや苦労を感じる場面が多いかもしれません。私自身、若手のうちに一人現場に入った苦労は小さくなかったので、そこは正直に書いておきます。

なお、デイと一口に言っても、リハ職の人数や機能訓練への力の入れ方は事業所によってかなり差があります。私が経験した2ヶ所でも、セラピストの配置は複数と実質一人でまったく違いました。同じ「デイサービス」の求人でも、中身は別物ということが珍しくありません。

■ たこすの現場経験から

今はエリア管理の立場で複数の事業所に関わっていますが、振り返ってみると、デイ時代に感じた「在宅生活を維持することの難しさ」は、その後の訪問リハでも施設運営でも、ずっと自分のテーマであり続けました。20代前半で生活期リハビリの入口に立てたことは、キャリアとしては大きかったんだと思います。

同時に、運営側に回った今だからこそ思うのは、一人配置の専門職をどう支えるか、という課題です。若手を「ほぼ一人現場」に置くなら、相談できるルートや聞き役を組織側が用意しておく必要がある。自分自身が苦労した経験があるので、ここは今でも意識しているところです。デイへの転職を考えている方は、給与や休日だけでなく、「リハ職が何人いるか」「困ったとき誰に相談できるか」を面接で確認しておくことをおすすめします。

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たこす
理学療法士・介護支援専門員。総合病院を起点に、デイサービス・訪問リハ・回復期・施設運営・エリアマネジメントと、約20年にわたりリハ職としてのキャリアを積んできました。 専門領域での偏りに悩んだ20代、役割が急に増えた30代、そして40代を迎える今も "働き方を磨き続けること" をテーマに日々試行錯誤中。 現場だけでなく、新人育成・職場の役職・施設管理者・エリアマネジメントなど "横のキャリア" にも触れてきたことで、一般的なセラピストの道とは少し違う視点を持つようになりました。 だからこそ今、キャリアに迷うあなたにとって「少し先を歩く人」として、気づきを届けられることがあると感じています。